子供の身長を伸ばすためにできること
「たくましく大きく育てたい」「将来はスポーツの世界で活躍してほしい」などお子さんに対して希望はあるものの
「私も親族もみんな小さいから」「遺伝だから」とあなたはあきらめていませんか?
安心してください。一昔前はそんなことを言われていましたが、最新の科学データでは「遺伝の影響は25%~30%」と言われています。
遺伝以外の様々な条件がからみ、最終的な身長の高さが決まっているのです。
ここでは身長を伸ばすメカニズムとポイントをまとめてみました。
お子さんの成長期は限られていますので、今のうちに身長を伸ばすための知識を得て、実践しましょう。
背が伸びるメカニズムを知ろう!
骨が縦に伸びることで、背が伸びていく
大人と違い子供の骨には一本の骨の両端に軟骨組織でできた「骨端線」と呼ばれる層があります。この軟骨組織にある化学反応がおき、骨端線に働きかけ、アミノ酸を取り込み肥大化し、骨を縦にグングン伸ばしていきます。
しかし、「骨端線」はいつまでも存在しているわけではありません。思春期後半になると次第に軟骨組織が硬い骨に置き換わっていきます。そうして完全な骨になると骨端線は無くなり、骨の伸びも止まります。
つまり、子どもの身長を高くするには骨端線が存在している間に、可能な限り成長反応を促していくことがポイントとなります。
背を伸ばすポイント
先ほども出たように骨端線に化学反応を起こすことができれば骨が伸びるわけです。
では化学反応を促すものとはなんでしょうか?
答えは「成長ホルモン」です。
この「成長ホルモン」の分泌を多くすることがカギとなります。
ではどうしたら分泌を促すことができるのかご紹介していきます。
良質な睡眠
子供の成長にとって大事な「成長ホルモン」は、昼間起きているときより、夜寝てい る時に多く分泌されます。
特に深い眠りの時に多く、血液中の成長ホルモン濃度はピークに達します。
もし、途中で睡眠を妨げられたり、睡眠時間が短いと成長ホルモンの分泌が悪くなり身長の伸びが悪くなる可能性があるのです。
さらに睡眠は、昼間に上半身の重さがずっしりと下半身の骨にかかっているのを解放することで、骨を休めることになります。
また、立っている時よりも横になっているときのほうが成長ホルモンの分泌が多くなることが分かっています。
目安となる時間は下記を参考にしてみてください。
「新生児・乳児」の睡眠時間(13時間~17時間)
「1歳~3歳」の睡眠時間(12~14時間)
「4~6歳」の睡眠時間(10~13時間)
「6~12歳」の睡眠時間(9.5~11時間)
「13~18歳」の睡眠時間(8~9.5時間)
「寝る子は育つ」ということわざがありますがこれは科学的にも正しい理由があったのですね。
バランスの良い栄養
これさえ食べれば身長がよく伸びるという食品はありません。身長を伸ばすためには栄養のバランスが大事です。
それではここで栄養素の役割をみていきましょう。
- 骨を作る材料は?
骨を伸ばすたんぱく質、骨を強くするカルシウム、マグネシウムなどのミネラル。
たんぱく質は、骨や筋肉の材料となって骨を大きくし、「成長ホルモン」の分泌を促す作用も持っています。
マグネシウムはカルシウムの吸収と代謝を調節します。カルシウムだけ摂取しているとかえって骨からカルシウムが溶け出す現象が起こります。なのでカルシウムとマグネシウムが2:1になるようにバランスをとりましょう。
- 成長ホルモンの分泌を増加させよう!
たんぱく質(アミノ酸)や亜鉛は成長ホルモンや成長因子の分泌を促す作用があります。
特にたんぱく質の中でも特に重要な「アルギニン」は脳下垂体の働きを良くして、成長ホルモンの合成を促す作用があります。
亜鉛も体内の酵素に働きかけ、成長ホルモンの分泌を促す働きがあります。
ある国で、身長の高い人と低い人の体内の亜鉛の量を調べた結果、身長の高い人のほうが亜鉛の量が多いことがわかっています。
- 成長に必要なエネルギー源は?
体を大きくしていくためには大量のエネルギーが必要となります。主要なエネルギーは炭水化物です。
子供の成長をビルの工事に例えると鉄筋がタンパク質、コンクリートがカルシウム、そしてビルをつくるための動力、電力などが炭水化物です。
- 間接的に成長を支えるもの
ビタミンAやCなどは体調を整えることにより間接的に成長を支えてます。体調がよくないと食欲が低下してしまいます。ビタミンDはカルシウムの働きに関係し、骨の成長に欠かすことができません。
栄養は様々な食品から直接摂取することが大切です。
ただ、一日に一流アスリートの5倍の活動量があると言われているこどもの栄養を毎回の食事で補うのは難しいので、サプリメントとの併用をお勧めします。
適度な運動
身長を伸ばすためには「ほどよい運動」も大事です。
ほどよい運動も「成長ホルモン」の分泌を高めてくれます。
- 適度な運動が「成長ホルモン」を分泌
運動をすることによって、食欲がまし、なんでもおいしく食べたい状態になります。
また心地よい疲労感を誘い、熟睡へと導きやすくなります。さらに運動による刺激が骨の成長とともに成長ホルモンの分泌を促します。
「あまり食べてくれない」、「なかなか寝てくれない」など子供の健康管理が思うようにいかないときは、まず「外で体を動かす」習慣をつけるといいですね。
- 運動のさせすぎ、負荷の強い運動は逆効果
消耗の激しい、過度な運動。例えば重量上げや長距離走などです。骨への圧力が大きいものは骨や関節を傷つけ骨が伸びにくくなってしまいます。
運動のし過ぎで疲れ、ろくに食べずに寝てしまうのでは、身長が伸びないばかりか健康を害してしまいますので気を付けましょう。
3 まとめ
不自由なくすくすく育ってほしい…我が子であればそう思うものです。
それも愛情があるからこそのこと。できることを一歩一歩進んでみましょう。
今日お話しした通り、遺伝が関係ないとは言い切れませんが、可能性はわずかだということがお分かりいただけたと思います。
あまり責任を感じることはありません。
それよりも、「今しかない子育ての時間をお子さんと一緒に楽しむ」ことで、体の大きさに代えられない心の豊かさを育んで欲しいと思います。