身長を伸ばす大事な栄養素とは
近年、世界で活躍する若い世代のアスリートが増えてきました。そこには技術はさることながら日本人の体格が良くなったことも関係があるのではないでしょうか。なんと身長は戦後と現代で平均寿命は男・女ともに約10cmも伸びているのです。理由の一つは食の欧米化にあると言われていますが、欧米化により、お肉などのタンパク質摂取量が増えたことで身長が伸びたことがわかっています。え?牛乳じゃないの?と思ったあなた。それだけじゃダメなのです!
必要なのは、タンパク質・カルシウム・ビタミン群・鉄・亜鉛です。
ここでは身長に必要な栄養素は何かについてご紹介するので、あなたのお子さんを世界で活躍できる世界基準に育てていきましょう!
1 タンパク質
タンパク質は、骨にとって一番重要な栄養素です。正確に言うと骨だけでなく、筋肉・血液・ホルモン・酵素・皮膚・髪の毛その他もろもろ、体のほぼ全ての成分です。
タンパク質=プロテインですが、プロテインの語源はギリシャ語のプロテイオス。「第一番目のもの、一番大切なもの」という意味なのです。
タンパク質そのものに細胞を栄養する力がありますが、成長にとって必要な成長ホルモンの分泌を促し全身に運ぶ力も持っています。
骨の伸びしろになる骨端線の材料になるのはもちろん、骨が伸びるときには、同じように皮膚や筋肉や血管、内臓も大きくならなければなりません。その時にタンパク質が不足していたら、骨を伸ばすよりも生命維持のためにタンパク質をつかってしまいますね。
残念ながら、最新のデータでは成長期に関わらず毎日の食事で一番摂取しているものは70%が糖質(炭水化物)となっていますので、日本人のほとんどがタンパク質不足となっています。成長期にはもっと積極的に取り入れたい栄養素の一つです。
※一日摂取目安
通常の大人:体重1㎏あたり1g
成長期の子供:体重1㎏あたり1.5g~2g
ほぼほぼ倍くらいのタンパク質が必要になります。食の欧米化によりタンパク質摂取量が増えてもまだ足りていないのです。ましてや大人でさえ足りていないタンパク質を、子供に2倍の量を食事だけで摂取するのはとても大変。
今の時代は子供向けサプリメントも数多く出ているので食事とうまく併用することをお勧めします。
タンパク質おすすめ食材ベスト5
鶏ささみ・豚ヒレ肉・まぐろ・大豆・鶏むね肉
2 カルシウム
骨を伸ばすのはたんぱく質。ではカルシウムはというと、骨を丈夫にする働きがあります。
カルシウムといえば牛乳ですね。牛乳は確かに栄養素が高いのですが、牛乳のたんぱく質は粒子が大きく、腸での吸収が悪いので消化するのに負担をかけます。最悪、腸の弱い子には牛乳貧血を起こす子も…。結果マイナスでは意味がありません。
カルシウムを摂取するのなら、海産物で、とくに丸ごと食べられる煮干し・ししゃも・干しエビ・いわしを摂取するのがお勧めです。またカルシウムと一緒にマグネシウムも1:1の割合で摂取することによりカルシウムの吸収率をアップすることができます。魚はマグネシウムも含んでいるので一石二鳥ですね。
カルシウムおすすめ食材
桜エビ・プロセスチーズ・しらす干し・わかさぎ・いわし
3 ビタミン群
①ビタミンB
ビタミンB2には、成長ホルモンをつくるのを助けてくれます。またB12は新しく神経細胞をつくるのに必要なビタミンです。身長がグングン伸びているときはたくさんの神経細胞が作られているので必要な栄養ですね。
B2おすすめ食材
レバー・牛肉・ウナギ・サバ・海苔
B12おすすめ食材
しじみ・あさり・レバー・煮干し牡・蠣
②ビタミンⅭ
ビタミンⅭには関節の軟骨にコラーゲンを作り、しなやかな関節に必要です。新陳代謝をしている骨と軟骨の潤滑油の役割をしてくれています。
ビタミンⅭおすすめ食材
いちご・キウイ・レモン・柿・赤ピーマン
③ビタミンⅮ
ビタミンⅮにはカルシウムの吸収を助ける働きがあります。体が紫外線に当たるとコレステロールがビタミンⅮを作り、眠りを良くするメラトニンというホルモンを分泌します。
熟睡ができると結果、骨が伸びるのに重要な成長ホルモも分泌するので大事な栄養素の一つです。
ビタミンⅮおすすめ食材
いわし・すじこ・さんま・鮭・まぐろ
④ビタミンK
ビタミンKは、切り傷など出血をしたときに血液を止める働きがあります。もう一つの働きとしては、取り込んだカルシウムを骨にくっつける働きがあることがわかってきました。ビタミンKが不足してしまうとカルシウムが骨に定着せず、強く安定し、丈夫にはなりません。
栄養は100%利用したいですよね。
ビタミンKおすすめ食材
モロヘイヤ・納豆・鶏モモ肉
4 鉄
鉄もまた、軟骨部分のコラーゲンをつくるのにタンパク質、ビタミンⅭとともに必要な栄養素です。身長や体重が増加すると、それだけ多くの血液も必要になります。血液を作る分の鉄を使ってしまうと軟骨コラーゲンに栄養が行き届かないので、軟骨の期間を長くするためにも鉄を摂取しましょう。
※鉄には吸収のよいヘム鉄(動物性の鉄)と非ヘム鉄(植物性の鉄)がある。
ヘム鉄はタンパク質とうまく結合して40%の吸収率があるのに対し、非ヘム鉄は1~5%の吸収率しかありません。例えば小松菜、ほうれん草、大根の葉等です。
鉄おすすめ食材(ヘム鉄のもの)
あさり・レバー・赤みの肉・ラム肉・卵
5 亜鉛
亜鉛は、細胞分裂にとても必要な栄養素。不足すると湿疹やアトピーなどのお肌トラブルの症状になったりもします。タンパク質同様に骨・体格・粘膜等それぞれに亜鉛が関わっていて、成長ホルモンを作ることと同時に免疫力もあげています。
また、亜鉛は体内の解毒作用にも一役かっていますので、ファストフードや化学調味料などの添加物のあるものを食べてしまうと、亜鉛不足になる可能性があることを覚えておきましょう。
亜鉛含有の多い食材ベスト5
牡蠣・うなぎ・牛肉・チーズ・大豆製品
6 まとめ
ここまで身長に必要な栄養素をご紹介してきましたが、これだけ取ればいいというものはありません。ただ、戦後の日本人の身長が伸びてきたことを考えると、タンパク質がいかに大事で、それでもまだ不足しているという状態にあるのも現実です。陸上競技界では、やっと100mで9秒台が出ました。まだまだ日本人には秘めている力があるのです。
あなたのお子さんが秘めた能力、最大限に引き出していきましょう。